こども誰でも通園制度(正式名称は乳児等通園支援事業)は、生後6か月から満3歳未満で、保育所・認定こども園・幼稚園等に在籍していない子どもが、保護者の就労状況にかかわらず、月10時間の範囲で時間単位に利用できる給付です。2025年度に子ども・子育て支援法にもとづく地域子ども・子育て支援事業として制度化され、2026年度からは同法にもとづく新たな給付として全国の市町村で実施されています。

既存の保育所・認定こども園・小規模保育事業などが新たに受け入れる場合、「一般型」と「余裕活用型」のどちらで実施するかによって、満たすべき設備・職員の基準が変わります。この記事では、こども家庭庁の制度専用サイトと公表資料、実施形態ごとの設備・職員基準を定めた内閣府令の内容にもとづいて、制度の対象、実施形態の選び方、基準、利用者負担、予約の仕組みを整理します。

なお、利用者負担の減免や予約システムの運用開始時期など、地域ごとに扱いが違う点は、実施を申請する市町村に確認してください。


こども誰でも通園制度の対象と法的な位置づけ

こども家庭庁が運営する制度専用サイトは、対象を次のように示しています。

  • 対象年齢:生後6か月から満3歳未満(3歳の誕生日の前々日まで利用可能とする自治体もあります)
  • 対象となる子ども:保育所、認定こども園、幼稚園等に通っていない子ども
  • 利用時間:月10時間の範囲で、時間単位に利用できる

児童福祉法の改正により、乳児等通園支援事業は市町村による認可事業として位置づけられました。制度は「こども未来戦略」(令和5年12月22日閣議決定)が挙げた「0~2歳児の約6割を占める未就園児を含め、子育て家庭の多くが『孤立した育児』の中で不安や悩みを抱えている」という課題認識にもとづき、保育所等に通っていない子どもも含めて、すべての子育て家庭を支援するものと位置づけられています。

利用料は、こども家庭庁の通知(こ成保発第120号)が、「こども一人1時間当たり300円程度を標準とし、各乳児等通園支援事業所において設定した額を利用者負担とすることができる」としています。ただし、実際の金額や減免の扱いは自治体によって差があります。たとえば横浜市は生活保護世帯や市民税非課税世帯等への軽減を案内しており、東京都特別区の一部は独自の財源で利用料や利用時間の上限を国の基準より広げています。自分の地域の標準額と減免の扱いは、実施を申請する市町村の案内で確認してください。


実施形態を選ぶ:一般型か余裕活用型か

乳児等通園支援事業には、2つの実施形態があります。

実施形態内容向いている園
余裕活用型保育所・認定こども園・家庭的保育事業等で、利用児童数が確認を受けた利用定員に満たない場合に、その満たない数の範囲で受け入れる定員に空きがあり、まず小さく始めたい既存園
一般型保育所等の定員とは別に、乳児等通園支援事業としての定員を設定するまとまった人数を継続的に受け入れたい園

余裕活用型は、保育所なら児童福祉施設の設備及び運営に関する基準、認定こども園なら認定こども園法にもとづく基準など、すでにその施設が満たしている基準がそのまま適用されます。新たな設備投資や職員配置の見直しをせずに始めやすい形です。

一般型は、乳児等通園支援事業所として独自の設備・職員の基準(次章)を満たす必要があります。定員に空きがない園や、定員とは別に安定した受け皿を持ちたい園に向きます。

いずれの形態も、市町村長の認可(余裕活用型は、もとになる施設・事業の確認・認可を通じて)を受けて実施します。


一般型で必要な設備・職員の基準

一般型で実施する場合の基準は、「乳児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準」(令和7年内閣府令第1号、令和7年4月1日施行)にもとづき、こども家庭庁の通知(こ成保発第120号)で運用の取扱いが示されています。

設備の基準

対象児童設備面積基準
乳児・満2歳未満乳児室またはほふく室、便所乳児室は1人1.65平方メートル以上、ほふく室は1人3.3平方メートル以上
満2歳以上保育室または遊戯室、便所1人1.98平方メートル以上

保育室等を2階以上に設ける場合は、耐火・準耐火構造や避難用の階段・傾斜路など、建築基準法にもとづく追加の要件があります。

職員の基準

  • 保育士(または市町村長が行う研修を修了した「乳児等通園支援従事者」)を配置する
  • 人数は、乳児おおむね3人につき1人以上、満1歳以上満3歳未満はおおむね6人につき1人以上とし、そのうち半数以上は保育士とする
  • ただし、事業所1つにつき2人を下ることはできない
  • 乳児等通園支援従事者は、原則としてこの事業に専従する

専従が1人でよい例外(こ成保発第120号)は、次のいずれかに当たる場合です。

  1. 保育所等と一体的に運営されていて、その職員の支援を受けられ、専従の職員が保育士であるとき
  2. 利用している乳幼児が3人以下で、保育所等が現に保育を行っている乳児室・ほふく室・保育室・遊戯室で実施し、保育所等の保育士の支援を受けられるとき

既存の保育所と一体で運営し、利用人数を絞って始める場合は、この例外を使えるかどうかが職員体制の負担を大きく左右します。

他の社会福祉施設等(児童発達支援事業や一時預かり事業など)と併せて設置するときは、支障がない範囲で設備・職員を兼ねることもできます。


運営規程に定める事項

こ成保発第120号は、乳児等通園支援事業の運営規程(園則)に定める事項として、次を挙げています。

  • 事業の目的及び運営の方針
  • 提供する乳児等通園支援の内容(障害児・医療的ケア児の受入れ体制を含む)
  • 職員の職種、員数及び職務の内容
  • 提供を行う日及び時間並びに提供を行わない日
  • 保護者から受領する費用の種類、支払を求める理由及びその額
  • 乳児、幼児の区分ごとの利用定員
  • 利用の開始・終了に関する事項及び利用に当たっての留意事項
  • 緊急時等における対応方針、非常災害対策、虐待の防止のための措置

すでに保育所として運営規程を定めている場合でも、乳児等通園支援事業の運営に関する重要事項は、別途定める必要があります(内容が重なる部分は同一の記載でかまいません)。


利用者の募集と予約の仕組み

利用の申込みには、保護者が市町村から「乳児等支援給付」の認定を受ける手続きが前提になります。そのうえでの予約・案内の方法は、市町村ごとにシステムや運用が異なります。

横浜市の案内では、保護者は「こども誰でも通園制度総合支援システム」で面談の申込みや利用予約を行い、登園・降園のときに二次元コードを読み取って記録します。私立施設の申込み方法を「各実施施設へ申し出る」としている自治体もあり、園が直接、予約枠や空き状況の管理に関わる場面があります。

通常の園児募集で使う「ここdeサーチ」や「保活ワンポータル」の仕組みと連動する部分もあるため、まずは実施を申請する市町村に、どのシステムを使うか、園が登録・設定する作業は何かを確認してください。通常の入園募集の仕組みは園児募集の方法で扱っています。


実施にあたっての注意点

  • 利用者負担の額を運営規程に明記する:標準額(1時間当たり300円程度)を参考に、各事業所が額を設定します。地域の減免の扱いも含めて、保護者に説明できるようにしておきます。
  • 専従要件の例外に当てはまるかを先に確認する:職員1人でよいのか、2人以上必要なのかで、受け入れられる人数や体制が変わります。
  • 安全計画・非常災害対策は保育所と別に整える必要がある事項を洗い出す:既存の計画に不足があれば、乳児等通園支援事業として必要な内容を加えます。保育所の安全計画の考え方は保育所の安全計画で扱っています。
  • 小規模保育事業などで新たに参入する場合は、開業時の基準とあわせて確認する:小規模保育事業の基準は小規模保育事業の始め方で整理しています。

まとめ

  1. 対象は生後6か月から満3歳未満で、保育所等に在籍していない子ども。月10時間の範囲で時間単位に利用できる。2026年度から全国の市町村で新たな給付として実施されている。
  2. 実施形態は「余裕活用型」(既存の基準のまま、定員の余裕で受け入れる)と「一般型」(独自の設備・職員基準を満たして定員を別に設定する)の2区分。
  3. 一般型の職員基準は、乳児おおむね3人に1人以上、1〜3歳未満はおおむね6人に1人以上で、半数以上は保育士。事業所1つにつき2人を下回れない。一定の条件で1人にできる例外がある。
  4. 利用者負担・予約の仕組みは自治体差が大きい。標準額の目安はあっても、実際の金額とシステムは実施を申請する市町村で確認する。

参照した資料