小規模保育事業は、利用定員6人以上19人以下で、主に満3歳未満の子どもを保育する事業です(児童福祉法第6条の3第10項)。保育所と違い、認可は都道府県知事ではなく市町村長が行い、給付は施設型給付ではなく地域型保育給付の対象になります。

事業の形は、職員の資格によってA型・B型・C型の3つに分かれます。保育士の割合と定員、保育室の面積の基準が型ごとに違うため、確保できる職員と物件から型を選ぶのが出発点です。また、卒園後の受け皿などを担う連携施設の確保が求められる点も、保育所にはない特徴です。

令和8年4月1日からは、満3歳以上の子どもだけを対象にする満三歳以上限定小規模保育事業も始まりました。この記事では、児童福祉法、家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第61号)、こども家庭庁の資料にもとづいて、開設までに確かめることを整理します。認可保育所の開園の流れは保育所の開園の流れで扱っています。


1. 小規模保育事業の定義と3つの類型

法律上の定義(児童福祉法第6条の3第10項)

内容
第1号満3歳未満の保育を必要とする乳幼児を、利用定員6人以上19人以下の施設で保育する事業
第2号満3歳以上の幼児に係る保育の体制の整備の状況その他の地域の事情を勘案して、満3歳以上の児童を第1号の施設で保育する事業
第3号満3歳以上の児童だけを、利用定員6人以上19人以下の施設で保育する事業(満三歳以上限定小規模保育事業)

第2号による3歳以上の受入れについて、こども家庭庁は「小規模保育事業における3歳以上児の受入れについて」(令和5年4月21日)で、市町村がニーズに応じて柔軟に判断できることを示しています。第3号は、令和7年の児童福祉法改正(令和7年法律第29号)で新設され、令和8年4月1日に施行されました。

認可と確認

手続き根拠行う者
認可児童福祉法第34条の15第2項市町村長
確認(地域型保育給付の対象とする)子ども・子育て支援法第43条第1項市町村長(事業の種類と事業所ごとに利用定員を定める)

認可の審査では、保育所と同じく、経済的基礎、社会的信望、実務を担当する幹部職員の知識経験、欠格事由が見られます(児童福祉法第34条の15第3項)。市町村は、市町村児童福祉審議会などの意見を聴き(第4項)、需給の状況によっては認可しないことができます(第5項)。


2. A型・B型・C型の基準

家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準の第27条〜第35条にもとづく比較です。

A型B型C型
置く職員保育士・嘱託医・調理員保育士その他の保育従事者(市町村長が行う研修の修了者)・嘱託医・調理員家庭的保育者・嘱託医・調理員
保育する人の数年齢別の配置の合計+1人以上年齢別の配置の合計+1人以上。そのうち半数以上は保育士家庭的保育者1人につき3人以下(家庭的保育補助者と一緒なら5人以下)
乳児室・ほふく室(1人あたり)3.3㎡以上3.3㎡以上3.3㎡以上
満2歳以上の保育室・遊戯室(1人あたり)1.98㎡以上1.98㎡以上3.3㎡以上
屋外遊戯場(1人あたり)3.3㎡以上(付近の代わりの場所を含む)A型と同じ3.3㎡以上
利用定員6〜19人6〜19人6〜10人

A型・B型の年齢別の配置は、乳児おおむね3人に1人、1〜2歳児おおむね6人に1人です(3歳以上を受け入れる場合は、3歳児おおむね15人に1人、4歳以上児おおむね25人に1人)。

補足です。

  • 乳児室・ほふく室の面積は、保育所の乳児室(1.65㎡)より広い3.3㎡が求められています
  • 調理員は、調理を全部委託する場合や、搬入施設から食事を運び込む場合は置かなくてよいとされています
  • A型・B型では、看護師等を1人、理学療法士などの特定理学療法士等を1人まで、保育士とみなすことができます

型の選び方の目安として、保育士を定員に見合うだけ確保できるならA型、保育士の確保に不安があり研修修了者を組み合わせるならB型、ごく少人数で家庭的な保育を行うならC型が候補になります。ただし、市町村によって募集する型を限っていることがあるため、公募の条件を先に確かめてください。たとえば大阪市の令和8年度の事業者募集は、小規模保育事業のうちA型・B型を対象にしています。


3. 満三歳以上限定小規模保育事業(令和8年4月〜)

令和8年4月1日から始まった新しい類型です。こども家庭庁の通知などで示されている要点は次のとおりです。

項目内容
対象満3歳以上の子どもだけ(利用定員6〜19人)
設備・職員小規模保育事業所A型の設備及び職員の基準(満3歳以上の幼児に係る部分に限る)と同様
連携施設保育内容の支援と代替保育の連携施設を確保する。経過措置の対象外
公定価格の単価3歳児は1〜2歳児の単価×65/100、4・5歳児は×60/100(「令和8年度公定価格・基準等の見直し事項」)

これまで国家戦略特別区域で認められていた小規模保育事業は、この類型の創設に伴い廃止されています。


4. 連携施設の確保

連携施設の3つの役割(基準第6条第1項)

  1. 保育内容の支援:集団保育の体験の機会、相談、助言
  2. 代替保育:職員の病気などで保育ができないときの代わりの保育
  3. 卒園後の受け皿:保護者の希望に応じて、連携施設で引き続き受け入れる

連携施設になれるのは、保育所・幼稚園・認定こども園です。満三歳以上限定小規模保育事業者は、1と2だけを確保します。離島など、確保が著しく困難だと市町村が認める地域は除かれます。

確保が難しい場合の扱い

役割確保が難しい場合
保育内容の支援小規模保育A型・B型や事業所内保育事業者を「保育内容支援連携協力者」にできる(第6条第2項・第3項)
代替保育市町村が確保の促進に必要な措置を講じてもなお確保が著しく困難な場合などは、確保しなくてよいことにできる(第6条第4項)
卒園後の受け皿市町村が利用調整で優先的に扱う措置を講じている場合などは、確保しなくてよいことにできる(第6条第6項・第7項)

経過措置

基準の附則第3条は、連携施設の確保が著しく困難で、市町村が必要な支援を行えると認める場合は、省令の施行の日から15年を経過する日までの間、連携施設を確保しないことができるとしています。満三歳以上限定小規模保育事業者などは、この経過措置の対象外です。

こども家庭庁の子ども・子育て支援等分科会(令和6年10月17日)の資料では、令和6年10月の調査(有効回答3,845事業所)で3つの役割をすべて設定していた事業所は67.8%で、経過措置が終われば基準を満たさなくなる施設は1,163施設(全体のおよそ30.9%)と示されていました。経過措置があるうちに連携施設を確保しておくことが、開設後の安定につながります。


5. 開設までの流れと整備の補助

流れ

  1. 市町村に事前相談する:募集の有無、募集する型、地域、定員を確かめます。
  2. 物件を探す:乳児室・ほふく室の面積(1人3.3㎡以上)、屋外遊戯場または付近の代わりの場所、避難の経路を確かめます。
  3. 連携施設の候補と協議する:3つの役割をどの施設に頼めるかを確かめます。
  4. 職員の確保の計画を立てる:型に応じた保育士の人数と、嘱託医・調理(または委託・搬入)の体制を決めます。
  5. 公募に応募する・事業者に選定される:市町村の公募の時期に合わせます。
  6. 整備の補助を申請する:交付決定の前に工事の契約などを進めないよう、市町村の案内に従います。
  7. 認可申請・確認の申請:市町村長に申請し、利用定員が定まります。
  8. 開所

整備の補助(令和8年度)

こども家庭庁「令和8年度 保育関係予算の概要」によると、施設整備の交付金(就学前教育・保育施設整備交付金)には小規模保育整備事業が含まれ、設置主体は「市町村が認めた者」とされています。補助割合は原則 国1/2・市区町村1/4・設置主体1/4 です。

賃貸物件を改修する場合の保育所等改修費等支援事業では、新設・定員拡大の補助基準額は定員19名以下で19,968千円とされています。令和8年度から、定期借家契約の賃貸物件は補助の対象外になりました。


6. 開設前のチェックリスト

  • 市町村が小規模保育事業を募集しているか、募集する型(A型・B型・C型)を確かめた
  • 物件の乳児室・ほふく室が1人3.3㎡以上を確保できる
  • 屋外遊戯場か、付近の代わりの場所を確保できる
  • 型に応じた保育士の人数(A型は全員保育士、B型は半数以上)を確保できる見込みがある
  • 連携施設の3つの役割(満三歳以上限定は2つ)について、候補の施設と協議を始めた
  • 食事の提供の方法(自園調理・委託・搬入)を決めた
  • 物件の契約形態が補助の対象になるか確かめた
  • 卒園後の子どもの行き先について、市町村の利用調整の扱いを確かめた

7. 落とし穴

  • 保育所の面積基準で物件を探す:乳児室・ほふく室は保育所より広い1人3.3㎡が必要です。
  • 連携施設を後回しにする:経過措置は期限付きで、満三歳以上限定小規模保育事業には使えません。
  • 卒園後の受け皿を説明できない:0〜2歳児の保護者は、3歳以降の行き先を気にします。連携施設や市町村の利用調整の扱いを、入園時に説明できるようにします。
  • B型の保育士の割合を下回る:退職などで保育士が半数を下回ると基準を満たさなくなります。
  • 公定価格の単価を保育所と同じに考える:地域型保育給付の単価は別に定められています。市町村の単価表で確かめてください。単価の考え方は公定価格の仕組みで説明しています。

8. まとめ

  • 小規模保育事業は利用定員6〜19人で、認可と確認はどちらも市町村長が行う
  • A型は保育士、B型は半数以上が保育士、C型は家庭的保育者。乳児室・ほふく室は1人3.3㎡以上
  • 令和8年4月から、満3歳以上だけを対象にする満三歳以上限定小規模保育事業が始まった
  • 連携施設(保育内容の支援・代替保育・卒園後の受け皿)の確保が求められ、経過措置には期限がある

参考資料