1号認定の子どもの入園は、市町村の利用調整ではなく、保護者が園に直接申し込み、園が決めます。ただし、決め方は自由ではありません。施設型給付を受ける認定こども園・幼稚園は、申込みを正当な理由なく断れず、定員を超えたときは、抽選・申込順・設置者の理念にもとづく選考など、あらかじめ保護者に示した公正な方法で選考しなければなりません。

2号・3号の子どもは市町村の利用調整で入園が決まるため、同じこども園の中でも、1号とそれ以外とでは募集の進め方がまったく違います。この記事では、子ども・子育て支援法、同法施行規則、国の運営基準、こども家庭庁の資料にもとづいて、1号認定の募集で園が決めておくことと、願書の受付から契約までの手順を整理します。

なお、施設型給付を受けていない(子ども・子育て支援新制度に移行していない)私立幼稚園は、この記事で扱う運営基準の対象ではありません。園児募集の全体像は園児募集の方法で扱っています。


1. 1号認定の入園が園で決まる仕組み

1号認定とは

子ども・子育て支援法第19条は、教育・保育給付の対象を3つに分けています。1号は「満三歳以上の小学校就学前子ども(2号に当たる子どもを除く)」です。保護者の就労などで家庭での保育が難しい満3歳以上の子どもは2号、満3歳未満は3号です。

認定は、保護者の申請にもとづいて居住地の市町村が行い、申請から30日以内に処分することになっています(同法第20条)。

申込みから契約までの流れ

こども家庭庁の「よくわかる子ども・子育て支援新制度」は、1号認定の子どもの利用手続きを次の順で示しています。

順手続き園が行うこと
1保護者が施設に直接申し込む願書の受付
2施設から入園の内定を受ける(定員超過の場合などは面接などの選考あり)選考と内定の通知
3施設を通じて市町村に認定を申請する申請書の取りまとめと市町村への送付
4施設を通じて市町村から認定証が交付される認定証の受取りと保護者への交付
5施設と契約する重要事項の説明と同意、契約

手順3と4の「施設を通じて」は、子ども・子育て支援法施行規則に根拠があります。

  • 1号の認定の申請書は、認定こども園・幼稚園を経由して提出できる(第2条第3項)
  • 経由して申請書を受け取った施設は、速やかに保護者の居住地の市町村に送付しなければならない(第2条第5項)
  • 施設を経由して申請された場合、支給認定証の交付も、その施設を経由して行うことができる(第5条)

園を経由した申請は、園が申請書を預かって市町村に届ける役割を負うということです。預かった申請書を手元に置いたままにしないよう、市町村への送付の締切と担当者を決めておきます。

また、国の運営基準(特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の運営に関する基準)第9条は、認定を受けていない保護者から申込みがあったときは、保護者の意思を踏まえて速やかに認定の申請が行われるよう、必要な援助をしなければならないとしています。

2号・3号との違い

1号2号・3号
申込み先園市町村
入園を決めるのは園(選考)市町村(利用調整)
定員を超えたときの選考抽選・申込順・理念にもとづく選考など、園があらかじめ示した公正な方法保育の必要の程度と家族の状況を勘案し、必要性の高い子どもを優先
根拠運営基準第6条第2項児童福祉法第24条第3項、運営基準第6条第3項・第7条

認定こども園では、同じ年齢のクラスに1号と2号の子どもがいても、申込みの窓口と決め方が別です。見学や説明会で保護者から聞かれたときに混同しないよう、職員の説明をそろえておきます。


2. 園が守らなければならないこと

正当な理由のない拒否の禁止

子ども・子育て支援法第33条第1項と運営基準第6条第1項により、園は、利用の申込みを受けたときは、正当な理由がなければ拒めません。

こども家庭庁が公表している「事業者向けFAQ(第7版、平成27年3月)」は、「正当な理由」の基本として、①定員に空きがない場合、②定員を上回る利用の申込みがあった場合、③その他特別な事情がある場合を挙げています。③については、特別な支援が必要な子どもの状況と施設の受入れの能力・体制との関係、利用者負担の滞納との関係などを、慎重に整理すべき論点として挙げています。

また、運営基準第24条は、子どもの国籍、信条、社会的身分、費用を負担するかどうかによって、差別的な取扱いをしてはならないとしています。

定員を超えたときの選考方法

運営基準第6条第2項は、1号の申込みと在園している1号の子どもの合計が1号の利用定員を超える場合、次のような公正な方法で選考しなければならないとしています。

選考方法向いている場面注意点
抽選申込みが定員を大きく上回るとき実施の日時・方法・立会いを事前に示す
申込みを受けた順序受付期間を区切らず先着で受け付けるとき受付開始の日時と、同時刻の申込みの扱いを示す
設置者の教育・保育に関する理念、基本方針等にもとづく選考園の方針への理解を重視するとき何をどう評価するのかを具体的に示す
その他の公正な方法上の方法の組合せなど公正であることを説明できるようにする

同条第4項は、選考方法をあらかじめ保護者に明示したうえで選考を行うよう求めています。さらに、運営規程には「利用の開始、終了に関する事項及び利用に当たっての留意事項(選考方法を含む)」を書くことになっており(第20条第7号)、運営規程の概要は園内への掲示とインターネットでの公開の対象です(第23条)。募集要項だけでなく、運営規程とホームページの記載もそろえておく必要があります。

前述の事業者向けFAQも、定員を上回る申込みがあった場合は、抽選、先着順、建学の精神など設置者の理念にもとづく選考などの方法により、あらかじめ選考方法を明示したうえで行うことを求めています。

受け入れられないとき

運営基準第6条第5項は、自ら適切な教育・保育を提供することが難しい場合に、ほかの施設を紹介するなどの適切な措置を速やかに講じるよう求めています。選考で入園できなかった保護者に、結果だけを伝えて終わりにしないよう、市町村の窓口や近くの園の情報を案内できるようにしておきます。

国の基準と市町村の条例

これらの運営のルールは、子ども・子育て支援法第34条第2項・第3項により、国の運営基準に従い、または参酌して市町村が条例で定めるものです。実際に守る基準は園がある市町村の条例なので、募集要項を作る前に、市町村の条例と案内を確かめてください。


3. 募集の準備で決めておくこと

願書の配布を始める前に、次の項目を決めて文書にしておきます。

項目決めておくこと関係する規定
募集する人数1号の利用定員と在園児数から、年齢ごとの募集人数を出す運営基準第4条・第6条第2項
受付の期間と方法願書の配布日、受付の期間、窓口・郵送・オンラインの別―
選考方法抽選・申込順・理念にもとづく選考のどれか、その具体的な手順運営基準第6条第2項・第4項
選考方法の示し方募集要項、運営規程、ホームページに同じ内容を載せる運営基準第20条第7号・第23条
内定の通知通知の時期と方法、入園を辞退する場合の連絡期限―
認定の申請申請書を預かる時期と、市町村への送付の担当・締切施行規則第2条第3項・第5項
費用入園時に受け取る費用の名目と金額、上乗せ徴収・実費徴収の内容運営基準第13条
契約重要事項の説明と同意の時期、契約書運営基準第5条

入園時に受け取る費用の考え方

1号の子どもの保育料(利用者負担)は、幼児教育・保育の無償化の対象です。こども家庭庁の「幼児教育・保育の無償化概要」は、幼稚園・保育所・認定こども園を利用する3歳から5歳までのすべての子どもの利用料が無償化され、幼稚園については入園できる時期に合わせて満3歳から無償化するとしています。通園送迎費、食材料費、行事費などは、これまでどおり保護者の負担です。

入園料については、前述の事業者向けFAQが次のように整理しています。

  • 入園時に受け取るお金は、①教育・保育の対価としての性質と、②入園やその準備、選考などの事務手続に要する費用の対価としての性質の、大きく2つに分けられる
  • ①は特定負担額(上乗せ徴収)として一定の要件のもとで徴収でき、額や理由について保護者に事前に説明し、書面の同意を得る必要がある
  • ②は上乗せ徴収や実費徴収のルールの対象外だが、徴収時期や返還条件などを事前に説明し、同意を得ておく必要がある
  • 入園の権利を保証するためだけに別に費用を取ることは、新制度の趣旨から適切でない
  • 「入園料」とまとめて呼ぶ場合でも、実際の使途に見合った名目と内訳金額を示して説明することが適当

運営基準第13条第6項も、上乗せ徴収(第3項)と実費徴収(第4項)について、あらかじめ使途・額・理由を書面で明らかにし、説明を行い、上乗せ徴収については文書による同意を得るよう求めています。募集要項に載せる費用の一覧は、この区分に沿って作ると、入園後の説明とも食い違いません。


4. 願書の受付から入園までの手順

  1. 募集要項を公開する:募集人数、受付の期間と方法、選考方法、費用の内訳、内定後の手続きを載せる。ホームページと運営規程の記載と一致しているかを確かめる
  2. 願書を受け付ける:受付の日時と順番を記録する。申込順で選考する場合は、この記録が選考の根拠になる
  3. 選考する:公表した方法どおりに行う。抽選なら日時・方法・結果の記録を残す。理念にもとづく選考なら、評価の観点と結果を記録する
  4. 内定を通知する:入園できない保護者には、ほかの施設や市町村の窓口を案内する(運営基準第6条第5項)
  5. 認定の申請書を預かり、市町村に送る:預かった申請書は速やかに保護者の居住地の市町村に送付する(施行規則第2条第5項)。居住地が園の所在地と違う市町村の保護者もいるので、送り先を取り違えない
  6. 認定証を受け取り、保護者に渡す:交付の時期は市町村に確かめる
  7. 重要事項を説明し、同意を得て契約する:運営規程の概要、職員の勤務体制、費用などを記した文書を渡して説明し、利用開始の同意を得る(運営基準第5条)

保護者が園に申し込む時点では、まだ1号の認定を受けていないのが普通です。運営基準第8条は、必要に応じて支給認定証などで認定の有無や区分、有効期間を確かめるよう求めているので、入園の前に認定証の内容を確認しておきます。


5. 実行時の落とし穴

  • 選考方法を後から決める:申込みが定員を超えてから方法を決めると、あらかじめ明示することを求める運営基準第6条第4項に反します。受付を始める前に決めて公表します。
  • 募集要項と運営規程の食い違い:募集要項では抽選、運営規程では申込順というように、記載が合っていない例は見落としやすいものです。運営規程の概要は掲示とインターネットでの公開の対象なので、保護者も目にします。
  • 理念にもとづく選考の中身があいまい:「園の方針に合う家庭」だけでは、公正な方法として説明できません。何を確かめ、どう判断するかを文書にしておきます。
  • 入園の権利のためのお金を取る:内定を確保するためだけの費用は、事業者向けFAQで適切でないとされています。受け取る費用は名目と内訳を示します。
  • 申請書を預かったまま:園を経由した認定の申請は、速やかな送付が施行規則で求められています。締切を過ぎると、入園の時期に認定が間に合わないおそれがあります。
  • 1号と2号の窓口の混同:こども園の見学で、2号・3号の保護者に「園に願書を出してください」と案内するのは誤りです。2号・3号は市町村に申し込みます。

6. チェックリスト

  • 1号の利用定員と在園児数から、年齢ごとの募集人数を出した
  • 選考方法(抽選・申込順・理念にもとづく選考など)を、受付の開始前に決めた
  • 選考方法を、募集要項・運営規程・ホームページに同じ内容で載せた
  • 正当な理由なく申込みを断らない運用にしている(断る場合の理由を説明できる)
  • 選考の記録(受付の順番、抽選の結果、評価の観点)を残す方法を決めた
  • 入園できなかった保護者に、ほかの施設や市町村の窓口を案内できる
  • 入園時に受け取る費用を、上乗せ徴収・実費徴収・事務手続の費用に分けて説明できる
  • 認定の申請書を市町村に送る担当と締切を決めた
  • 市町村の条例と案内で、園に適用される基準を確かめた

7. まとめ

  • 1号認定の子どもは、保護者が園に直接申し込み、入園は園が決める。認定は、園を通じて市町村に申請する
  • 申込みは正当な理由なく断れない。定員を超えたら、抽選・申込順・理念にもとづく選考などの公正な方法で選ぶ
  • 選考方法は、あらかじめ保護者に示し、運営規程にも書く。運営規程の概要は掲示とインターネットで公開する
  • 入園時の費用は、上乗せ徴収・実費徴収・事務手続の費用に分け、名目と内訳を示して説明し、同意を得る

参考資料