重要事項説明書は、利用の開始の前に、運営規程の概要・職員の勤務体制・保護者が支払う費用などを文書にして保護者に渡し、説明して、利用開始の同意を得るための書類です。国の運営基準(特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の運営に関する基準)第5条が、施設型給付・地域型保育給付を受ける保育所・認定こども園・幼稚園・地域型保育事業に義務づけています。

説明書そのものは入園時に一度渡して終わりの書類に見えますが、中身は運営規程と費用の取り決めの写しです。運営規程と食い違っていたり、上乗せ徴収の同意を文書で取っていなかったりすると、入園後のトラブルのもとになります。この記事では、運営基準の条文にもとづいて、載せる項目、説明の時期と相手、費用の説明と同意の取り方を順に整理します。

入園の決まり方と園児募集の全体像は園児募集の方法で、1号認定の子どもの願書の受付と選考は1号認定の園児募集で扱っています。


1. 重要事項の説明が求められる理由

条文の要件

運営基準第5条は、特定教育・保育施設に次のことを求めています。

  • 特定教育・保育の提供の開始に際して、あらかじめ
  • 利用の申込みを行った保護者(利用申込者)に対し
  • 運営規程の概要、職員の勤務体制、第13条により支払を受ける費用に関する事項、その他の利用申込者の教育・保育の選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い
  • 提供の開始について利用申込者の同意を得る

地域型保育事業(小規模保育事業・家庭的保育事業・事業所内保育事業など)には第38条に同じ趣旨の規定があり、載せる事項に連携施設の種類、名称、連携協力の概要が加わります。

これらの基準は、子ども・子育て支援法第34条第2項・第3項により、国の運営基準に従い、または参酌して市町村が条例で定めます。実際に守るのは園がある市町村の条例です。

掲示とインターネットでの公開

運営基準第23条は、運営規程の概要、職員の勤務の体制、利用者負担など、利用申込者の施設の選択に資する重要事項を、施設の見やすい場所に掲示するとともに、インターネットで公衆の閲覧に供するよう求めています。重要事項説明書と掲示・ホームページの内容は、同じ運営規程から作るものなので、3つをそろえて更新するのが基本です。


2. 載せる項目

運営規程の11項目

重要事項説明書の中心になる「運営規程の概要」は、運営基準第20条(地域型保育事業は第46条)が定める次の項目です。

号運営規程の項目説明書での書き方の例
1施設の目的及び運営の方針保育の方針を短く書く
2提供する特定教育・保育の内容1日の流れ、年間の行事、給食
3職員の職種、員数及び職務の内容職種ごとの人数(勤務体制と合わせて載せる)
4提供を行う日及び時間、提供を行わない日開所日・開所時間・休園日、保育標準時間と保育短時間の時間帯。1号の定員がある施設は学期も
5保護者から支払を受ける費用の種類、支払を求める理由及びその額上乗せ徴収・実費徴収の一覧(3章)
6子どもの区分ごとの利用定員1号・2号・3号ごと(3号は0歳と1・2歳に分ける)
7利用の開始、終了に関する事項及び利用に当たっての留意事項(選考方法を含む)入園・退園の手続き、選考の方法、持ち物
8緊急時等における対応方法けが・急病のときの連絡、事故の報告
9非常災害対策避難場所、引渡しの方法、訓練
10虐待の防止のための措置に関する事項責任者、研修、通報の体制
11その他施設の運営に関する重要事項苦情の受付、個人情報の扱いなど

第6号の利用定員の区分は、運営基準第4条第2項に定めがあります。3号の子どもの利用定員は、満1歳未満と満1歳以上に分けて定めます。

運営規程以外に載せておきたい事項

運営基準のほかの条文で、園が保護者に対して行うことが決まっているものは、説明書で先に知らせておくと入園後の説明が短くなります。

事項根拠説明書に書くこと
苦情の受付運営基準第30条(苦情を受け付ける窓口の設置など)窓口の担当者、受付の方法、市町村の窓口
事故が起きたときの連絡運営基準第32条第2項(市町村・家族への速やかな連絡)連絡の順番と方法
小学校などへの情報提供運営基準第27条第3項(あらかじめ文書による保護者の同意)情報を提供する場面と、同意書の扱い
平等な取扱い運営基準第24条(国籍・信条・社会的身分・費用負担の有無による差別の禁止)―
安全の取組児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第6条の3第3項(保護者への周知)安全計画にもとづく取組の概要

安全計画の中身と保護者への周知は保育所の安全計画で扱っています。

市町村の記載例を使う

国の統一の様式はありませんが、市町村が記載例を公表していることがあります。たとえば名古屋市は、保育所、幼保連携型・保育所型認定こども園、幼稚園型認定こども園、家庭的保育事業等、施設型給付を受ける私立幼稚園の5つについて、運営規程・重要事項説明書・利用契約書の記載例を公表しています。名古屋市のページは、実費徴収または上乗せ徴収(保育所以外)や開所時間など、子どもの利用に関することを変更する場合は市への届出が必要だとしています。届出の要否は市町村によって違うので、園がある市町村の案内を確かめてください。


3. 費用の説明と同意

重要事項説明書で最も食い違いが起きやすいのが費用の欄です。運営基準第13条は、保護者から受け取れる費用を次のように分けています。

区分内容根拠
利用者負担額市町村が定める額(保育料)第13条第1項
上乗せ徴収教育・保育の質の向上を図るうえで特に必要と認められる対価。公定価格で賄えない費用との差額の範囲内第13条第3項
実費徴収日用品・文房具など、行事への参加、食事の提供(一部を除く)、通園の便宜、その他通常必要とされる便宜の費用第13条第4項

説明と同意の取り方

第13条第6項は、上乗せ徴収と実費徴収の支払を求める際は、あらかじめ使途・額・支払を求める理由を書面で明らかにし、説明を行い、文書による同意を得るよう求めています。ただし、実費徴収の同意は文書でなくてもかまいません。

書面での明示説明同意
上乗せ徴収必要必要文書で得る
実費徴収必要必要文書でなくてもよい

実費徴収も書面での明示と説明は必要なので、説明書に一覧で載せ、同意の欄を上乗せ徴収と分けて設けると、何に同意したのかがはっきりします。費用を受け取ったときは領収証を渡します(第13条第5項)。

私立保育所の場合

私立保育所(子ども・子育て支援法附則第6条の特定保育所)は、市町村から委託費を受ける仕組みで、保育料は市町村が徴収します。運営基準附則第2条により、私立保育所では第13条第1項の保育料の受領の規定が読み替えられ、上乗せ徴収をするには市町村の同意を得る必要があります。私立保育所の重要事項説明書で保育料を書くときは、市町村が定めて徴収するものであることを明記します。

無償化と食材料費

こども家庭庁の「幼児教育・保育の無償化概要」は、幼稚園・保育所・認定こども園を利用する3歳から5歳までの子どもの利用料が無償化され、通園送迎費、食材料費、行事費などは、これまでどおり保護者の負担になるとしています。また、年収360万円未満相当世帯の子どもと、すべての世帯の第3子以降の子どもは、副食(おかず・おやつ等)の費用が免除されます。

運営基準第13条第4項第3号は、実費として受け取れる食事の費用から、この副食の免除の対象になる子どもの分を除いています。条文では、所得の基準を市町村民税の所得割合算額で定めており、教育認定子ども(1号)は77,101円未満、満3歳以上保育認定子ども(2号)は57,700円未満(政令で定める一部の保護者は77,101円未満)です。第3子以降などの扱いは同じ号のロに定めがあります。説明書には、副食費を受け取らない子どもの条件を市町村の決定にもとづいて扱うことを書いておきます。


4. 説明と同意の手順

  1. 運営規程を最新にする:開所時間、利用定員、費用、虐待の防止など、変更があれば先に運営規程を直す
  2. 説明書を運営規程から作る:第20条の11項目と費用の一覧を、運営規程と同じ表現で載せる。掲示とホームページも同時に直す
  3. 説明の日程を決める:入園の内定から利用の開始までの間に、説明の機会を設ける。運営基準は「提供の開始に際して、あらかじめ」と定めている
  4. 文書を渡して説明する:読み上げるだけでなく、費用・開所時間・緊急時の連絡など、入園後に問い合わせの多い点を重点的に説明する
  5. 同意を得る:利用開始の同意と、上乗せ徴収の文書による同意を取る。小学校などへの情報提供の同意(第27条第3項)も、この時点で文書で得ておく
  6. 写しを保護者に渡し、園でも保管する:同意書と説明書の版(日付)を記録しておく

電子で渡す場合

運営基準第62条は、書面の交付や書面による同意に代えて、電子メールの送信やファイルの閲覧・保存などの電磁的方法を使えるとしています。条件は次のとおりです。

  • あらかじめ、使う方法の種類と内容(ファイルの記録の方式など)を示し、保護者から文書または電磁的方法による承諾を得る
  • 保護者がファイルを出力して文書を作れる方法であること
  • 保護者が電磁的方法による提供を受けない旨を申し出たときは、電磁的方法で提供してはならない

登降園システムや連絡アプリで説明書を配る場合は、この承諾を先に取っておきます。


5. 実行時の落とし穴

  • 運営規程と説明書の食い違い:開所時間や利用定員を変えたのに、説明書と掲示が古いままという例は起きやすいものです。第23条により、運営規程の概要はインターネットでも公開の対象です。
  • 上乗せ徴収の同意を口頭で済ませる:上乗せ徴収は文書による同意が必要です(第13条第6項)。実費徴収と同じ扱いにしないよう、同意の欄を分けます。
  • 私立保育所が市町村の同意なく上乗せ徴収する:私立保育所の上乗せ徴収には市町村の同意が必要です(運営基準附則第2条)。
  • 地域型保育で連携施設を書き漏らす:小規模保育事業などは、連携施設の種類・名称・連携協力の概要が説明事項です(第38条)。3歳以降の行き先を気にする保護者にとって重要な情報でもあります。
  • 説明が入園後になる:運営基準は利用の開始に際して「あらかじめ」説明することを求めています。4月入園では、内定から入園までの期間が短くなりがちなので、説明の日程を先に決めておきます。
  • 在園児への変更の説明を忘れる:費用や開所時間を変えるときは、在園児の保護者にも変更点を説明し、上乗せ徴収を変える場合は改めて文書で同意を得ます。

6. チェックリスト

  • 運営規程の11項目(第20条)が説明書に入っている
  • 職員の勤務体制と、保護者から受け取る費用の欄がある
  • 小規模保育事業などでは、連携施設の種類・名称・連携協力の概要を載せた
  • 上乗せ徴収と実費徴収を分けて、使途・額・理由を書いた
  • 上乗せ徴収について文書で同意を得る様式を用意した
  • 私立保育所で上乗せ徴収をする場合、市町村の同意を得た
  • 副食費を受け取らない子どもの条件を説明できる
  • 苦情の窓口、事故のときの連絡、小学校などへの情報提供の同意を載せた
  • 掲示とホームページの内容を、説明書と同じ版にそろえた
  • 電子で渡す場合は、あらかじめ保護者の承諾を得ている

7. まとめ

  • 重要事項説明書は、利用開始の前に、運営規程の概要・職員の勤務体制・費用などを記した文書を渡して説明し、同意を得るためのもの(運営基準第5条、地域型保育は第38条)
  • 載せる中心は運営規程の11項目。地域型保育では連携施設の情報が加わる
  • 上乗せ徴収と実費徴収は、使途・額・理由を書面で明らかにして説明する。上乗せ徴収は文書で同意を得る。私立保育所の上乗せ徴収には市町村の同意が必要
  • 運営規程・説明書・掲示とホームページは、同じ内容でそろえて更新する

参考資料