保育補助者と保育支援者は、どちらも保育士資格を持たない職員で、保育士の負担を軽くするために置きます。 保育補助者は保育士の補助として子どもにかかわり、保育支援者は清掃・配膳・寝具の準備などの周辺業務を担います。それぞれ、市区町村が実施する「保育補助者雇上強化事業」と「保育体制強化事業」で、雇上げの費用が補助されます。

どちらの事業も、令和8年度に補助率が見直されました。この記事では、こども家庭庁の「令和8年度保育関係予算案の概要」と、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」の特例の規定にもとづいて、2つの職種の違い、補助の中身、配置基準との関係を整理します。


1. 保育補助者と保育支援者の違い

比べる点保育補助者保育支援者
資格保育士資格を持たない(潜在保育士が保育補助者として働く場合も対象)保育士資格を持たない
担う業務保育士の補助(子どもに直接かかわる)保育の周辺業務(消毒・清掃、配膳、寝具、通訳、園外活動時の見守りなど)
補助の事業保育補助者雇上強化事業保育体制強化事業
事業のねらい保育士の負担軽減と離職の防止、保育補助者の資格取得までの好循環保育士の業務負担の軽減

保育補助者雇上強化事業では、事業者は保育補助者に対して、保育士試験や養成施設の卒業による保育士資格の取得を促すこととされています。資格を持っているが保育士として働いていない潜在保育士が、段階的に復帰する足掛かりとして保育補助者になる場合も、1年間を限度に補助の対象になります。


2. 補助の中身(令和8年度予算案)

保育補助者雇上強化事業

施設の定員保育補助者の経験年数 3年未満3年以上7年未満7年以上
121人未満1,963千円2,454千円3,272千円
121人以上3,926千円4,908千円6,544千円

補助基準額は年額です。国の補助率は、平成28年度の創設から3/4でしたが、令和8年度は原則2/3に見直されました。特別区と財政力指数が1.0を超える自治体で、国庫補助額が1億円を超えるところは、1/2になります。

保育体制強化事業

区分補助基準額(1か所当たり)
保育支援者の配置月額117千円
保育支援者が園外活動時の見守りなども行う場合月額164千円
園外活動時の見守り(キッズ・ガード)月額47千円
スポット支援員(登園時やプール活動時など一部の時間帯)月額47千円

保育支援者が園外活動時の見守りを行う場合は、市区町村が認めた交通安全に関する講習会などへの参加が要件です。スポット支援員を保育支援者とあわせて補助する場合は、保育支援者とは別に加配することが要件です。

都道府県の貸付

都道府県の保育士修学資金貸付等事業には、事業者向けの保育補助者雇上費の貸付(年額295.3万円まで、最長3年間)があり、保育補助者が原則3年間で保育士資格を取得するなどした場合は返還が免除されます。実施しているかどうか、受付の時期は都道府県の社会福祉協議会などで確かめます。

これらの事業は、市区町村(貸付は都道府県)が実施している場合にだけ使えます。 要件の細部も自治体の要綱で決まります。たとえば練馬区の要綱では、保育補助者を「保育に関する40時間以上の実習を受けた者」などに限っています。


3. 配置基準との関係

保育補助者と保育支援者は、原則として保育士の配置基準(4歳以上児30:1、3歳児20:1、1・2歳児6:1、乳児3:1)に数えません。補助の対象になるのは、配置基準を満たしたうえで加えて置く職員と考えておきます。

ただし、保育士の確保が難しいことを踏まえて、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」には、当分の間の特例があります。

特例内容
第94条朝夕など、必要な保育士が1人になる時間帯は、保育士に加えて、都道府県知事等が保育士と同等の知識と経験を持つと認める人を置けばよい
第95条幼稚園教諭・小学校教諭・養護教諭の普通免許状を持つ人を保育士とみなせる
第96条8時間を超えて開所する保育所で、開所時間を通じて必要な保育士の総数が利用定員に応じた保育士の数を超える部分は、知事等が認める人を保育士とみなせる
第97条第95条・第96条を使うときも、本来必要な保育士の数の3分の2以上は保育士を置く

「保育士と同等の知識と経験を持つと認める人」の範囲(子育て支援員研修の修了者など)は、都道府県等が定めます。特例を使うかどうかは、指導監査で確かめられる事項なので、所管の担当に確かめてから勤務表に組み込みます。


4. 配置を検討する順番

  1. 保育士の業務を書き出す:1日の業務を、子どもに直接かかわる業務と周辺業務に分けます。周辺業務が多ければ保育支援者、補助の手が足りなければ保育補助者が向いています。
  2. 市区町村の実施状況を確かめる:保育補助者雇上強化事業・保育体制強化事業を実施しているか、要綱の要件と申請の時期を確かめます。
  3. 勤務表に置く:どの時間帯に誰を置くかを決め、配置基準の特例を使う場合は、3分の2の要件を満たすことを時間帯ごとに確かめます。
  4. 資格取得を支える:保育補助者には、保育士試験の受験や養成施設の通学を支える計画を用意します。
  5. 効果を確かめる:保育士の残業時間やノンコンタクトタイムが確保できたかを、配置の前後で比べます。

保育士が子どもから離れて記録や準備をする時間の取り方は「ノンコンタクトタイムの確保」、保育士の採用の進め方は「保育士の採用方法」を参照してください。

チェックリスト

  • 保育補助者と保育支援者のどちらを置くかを、業務の書き出しから決めた
  • 市区町村の要綱で、補助の要件・基準額・申請の時期を確かめた
  • 補助の対象の職員を、配置基準の外に置く前提で勤務表を組んだ
  • 配置基準の特例を使う場合、3分の2の要件と所管の確認を済ませた
  • 保育補助者の資格取得を支える計画がある

5. まとめ

  • 保育補助者は保育士の補助、保育支援者は周辺業務。補助の事業も別
  • 保育補助者雇上強化事業の国の補助率は、令和8年度に3/4から原則2/3へ見直された
  • 保育支援者の補助基準額は1か所当たり月額117千円(見守りも行う場合164千円)
  • 配置基準に数えるのは原則として保育士。特例を使う場合も保育士は3分の2以上

補助の実施の有無と要件は自治体ごとに違い、年度ごとに変わります。必ず市区町村の最新の要綱と案内を確かめてください。

参考資料