ノンコンタクトタイムは、勤務時間内に子どもと直接関わらず、記録や準備などの業務を行う時間です。休憩時間とは別のもので、この時間が確保されていないと、記録や教材づくりが勤務時間内に終わらず、持ち帰り仕事や残業の原因になります。

この記事では、ノンコンタクトタイムの内容、シフトでの確保の仕方、活用できる国の補助事業を整理します。


ノンコンタクトタイムとは何か

ノンコンタクトタイムとは、勤務時間内に子どもと関わらない時間のことで、次のような業務にあてます。

  • 連絡帳・保育日誌の記入
  • 指導案の作成
  • 環境整備(片付け、掃除、環境構成)
  • 教材づくり(製作の準備、玩具づくりなど)
  • 保護者対応の準備

休憩時間とは異なり、業務として行う時間である点に注意してください。休憩は労働から完全に離れる時間であるのに対し、ノンコンタクトタイムは保育以外の業務に使う勤務時間です。両者を混同して「休憩の代わり」として扱うと、労働時間の管理を誤ることになります。

ノンコンタクトタイムが確保できないとどうなるか

子どもと関わる時間の合間に、記録や準備を挟み込む運用が続くと、次のような問題が起きやすくなります。

  • 記録や指導案の作成が勤務時間内に終わらず、持ち帰り仕事になる
  • 残業が発生し、保育士の負担が増える
  • 記録や準備に集中する時間が取れず、質の低い記録・準備になりやすい
  • 業務負担の大きさが、離職の一因になる

これらは、保育の質だけでなく、保育士の採用・定着にも関わる問題です。ノンコンタクトタイムの確保は、働き方の改善策の一つとして位置づけられます。採用の面接で「記録の時間がきちんと確保されているか」を聞かれることも増えており、体制が整っているかどうかが、応募者に選ばれる要素の一つになりつつあります。

シフトでの確保の仕方

ノンコンタクトタイムを確保するには、次の手順でシフトを組みます。

  1. 保育士の配置人数に余裕が出やすい時間帯を見つける。 登園・降園の少ない時間帯、午睡の時間帯などが候補になります
  2. その時間帯に、交代でノンコンタクトタイムを割り当てる。 全員が同時に子どもから離れることはできないため、順番を決めます
  3. 担当のクラスを、他の職員が一時的にカバーする体制を組む。 ノンコンタクトタイムを取る職員のクラスを、誰がどう見るかを事前に決めておきます
  4. この時間に行う業務を、あらかじめ決めておく。 「何をする時間か」を決めずに時間だけ確保すると、有効に使われないことがあります

余裕のある時間帯が見つからない場合は、後述する保育体制強化事業などの補助を使い、周辺業務を担う人員を配置することで、保育士がノンコンタクトタイムに使える時間を生み出す方法もあります。

シフトを組む際は、クラスごとに人数の余裕が違う点にも注意が必要です。0歳児クラスなど配置基準上の人数が厚いクラスと、幼児クラスなど手薄になりやすいクラスでは、ノンコンタクトタイムを確保しやすい時間帯が異なることがあります。クラスごとに、余裕の出る時間帯を個別に確認してください。

活用できる国の補助事業

ノンコンタクトタイムを確保しやすくするため、国は次のような事業を実施しています。

事業名内容
保育体制強化事業地域の人材(保育支援者)に、清掃・消毒、給食の配膳、寝具の準備などの周辺業務を担ってもらい、保育士の負担を軽減する
保育所等におけるICT化推進等事業連絡帳や指導案の作成、保護者との連絡などをICTで効率化し、記録・事務にかかる時間を減らす

保育体制強化事業は、保育支援者の配置について月額の補助上限が定められ、国・都道府県または市区町村・事業者で費用を分担する仕組みです。負担割合や補助額の詳細は自治体ごとに案内されているため、実施状況を自治体に確認してください。保育補助者・保育支援者の具体的な活用方法は別記事で扱います。

ICT化推進等事業も、対象となる機器・システムの範囲や補助額が事業ごとに定められています。すでに紙の記録が中心の園は、まずどの業務にICTを導入すれば時間の削減効果が大きいかを整理してから、対象となる機器・システムを検討すると、補助を有効に使いやすくなります。

実行時につまずきやすいところ

ノンコンタクトタイムを「休憩」として扱ってしまう。 業務として行う時間であることを職員に周知し、労働時間として適切に管理してください。

時間を確保しただけで、使い方を決めていない。 何をする時間かを決めずに確保すると、雑談や別の業務に流れてしまい、記録や準備が結局終わらないことがあります。

特定の職員だけがノンコンタクトタイムを取れる状態になる。 交代の仕組みが整っていないと、シフトの都合で一部の職員だけがノンコンタクトタイムを確保できず、不公平感につながります。誰がいつ確保できたかを記録し、偏りが出ていないかを定期的に確認してください。

確保した時間が、急な人手不足でそのつぶれてしまう。 欠勤や急な対応が入ると、ノンコンタクトタイムの担当者が保育の現場に戻らざるを得なくなることがあります。あらかじめ、こうした場合の優先順位(どの業務を後回しにしてよいか)を決めておくと、混乱を減らせます。

ノンコンタクトタイムの確保は、一度シフトを決めたら終わりではなく、行事の多い時期や職員の入れ替わりのたびに、確保できているかを見直す必要があります。定着している職員が抜けた後も同じ運用を続けられるよう、担当と手順を文書に残しておくと、引き継ぎがしやすくなります。

保育士の宿舎借り上げなど、住居費の負担軽減による定着支援は「保育士の宿舎借り上げ支援|対象と申請の流れ」で解説しています。