午睡チェックは、チェック表を用意すれば済むものではありません。確認の間隔・確認する項目・記録の残し方の3つを園として決め、担当者が変わっても同じように回る状態にして初めて、睡眠中の事故の早期発見につながります。

近年は、午睡センサーや記録システムを入れる園が増え、国も午睡センサーの購入を補助の対象にしています。ただ、センサーは職員の確認を置き換えるものではありません。この記事では、国の通知と自治体の指導資料をもとに確認の目安を整理し、記録を電子化するときの要件と、センサーを入れる前に確かめることをまとめます。睡眠中以外も含めた事故防止の全体は保育中の事故防止で扱っています。


1. 国と自治体が求めている確認

国のガイドラインと通知

こども家庭庁の事務連絡「教育・保育施設等における睡眠中の安全確保の徹底について」(令和6年2月8日)は、国の事故防止ガイドラインのうち睡眠中の項目を改めて周知しています。要点は次のとおりです。

  • 医学的な理由で医師からすすめられている場合を除き、乳児は顔が見える仰向けに寝かせる
  • 一人にしない。やわらかい布団やぬいぐるみを使わず、ヒモやヒモ状のものを置かない
  • 口の中に異物や嘔吐物がないかを確かめる
  • 子どもの数・職員の数に合わせ、定期的に呼吸・体位・睡眠状態を点検する

国のガイドラインは、点検の間隔を分単位では定めていません。

自治体が示す間隔の目安

実際の間隔は、所管の自治体の指導で決まることが多くあります。たとえば東京都福祉局指導監査部の資料「認可保育所の指導検査について(保育園での事故を防ぐために)」(令和5年度)は、睡眠時のチェックについて次のように示しています。

項目東京都の資料の記述
間隔0歳児は5分に1回、1〜2歳児は10分に1回が望ましい
特に注意する時期預かり始めの時期、体調不良などいつもと違う様子のとき
担当人任せにしないよう、チェックする担当者を明確にする
確認する項目寝つき、睡眠中の姿勢、顔色、呼吸の状態、体温
確認の方法乳幼児の体に触れて確認する
環境照明は、睡眠時の顔色が観察できる明るさを保つ

同じ資料は、1歳以上の子どもでも、家庭での生活や発達の状況を把握できるまでは必ず仰向けに寝かせるなど、きめ細かく安全を確かめるよう求めています。自分の園の間隔は、所管の市町村の指導や監査の資料で確かめ、園の決まりとして書き出しておきます。


2. 記録に残す項目

午睡チェックの記録は、確認したことの証拠であると同時に、異変に早く気づくための道具です。子どもごと・確認の回ごとに、次の項目を残します。

  • 確認した時刻と、確認した職員
  • 体位(仰向け・横向き・うつぶせ)と、うつぶせを仰向けに直したかどうか
  • 呼吸の様子、顔色
  • 気づいたこと(咳、鼻づまり、嘔吐、発汗、寝具の乱れなど)
  • 入眠と目覚めの時刻

時刻だけが並び、体位や呼吸の欄が空いている記録は、確認していなかったと読まれかねません。欄を増やしすぎて毎回埋められなくなるより、必要な欄に絞って毎回すべて埋める書式にします。

事故が起きた場合の記録は、運営基準により完結の日から5年保存します。午睡チェックの記録を何年残すかは園の規程で決め、その根拠は保育の記録と帳簿の保存で整理しています。


3. 記録を電子化するときの要件

電子で残してよいか

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第88条の11と、特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準第62条は、書面で行うことが定められている記録・作成・保存などを電磁的記録で行うことができるとしています。午睡チェックの記録も、タブレットや記録システムで残せます。

電子化で確かめること

観点確かめること
書き換えの履歴入力した後に時刻や内容を直した場合、その履歴が残るか
入力のしやすさ午睡中に片手で、数秒で入力できるか。入力に気を取られて見守りが薄くならないか
通知と記録の分離センサーの通知と、職員が目で確かめた記録を区別して残せるか
見せやすさ監査や事故の検証で、日付・クラス・子どもごとにすぐ画面や紙で示せるか
保存とバックアップ園の規程で決めた年数だけ保存でき、端末の故障や契約の終了でも消えないか

記録システムの導入費は、こども家庭庁の「保育所等におけるICT化推進等事業」で「保育に関する計画・記録」の機能として補助の対象になります。補助の基準額と、令和8年度に創設された保育ICT推進加算との関係は保育の ICT 化でまとめています。


4. 午睡センサーを入れる前に

職員の目視は省けない

こども家庭庁のミニポスター「睡眠中の事故を防ぐために」は、機器の使用の有無にかかわらず、必ず職員が見守ることを求めています。センサーは、体の動きなどを検知して異常の可能性を知らせる補助の道具です。うつぶせを仰向けに直す、口の中を確かめる、顔色を見る、体に触れて確かめるといったことは、職員にしかできません。

センサーを入れると、記録の入力が自動になったり、見落としに気づきやすくなったりします。一方で、確認の担当者と間隔、午睡中に部屋に残る職員の配置は変わらないことを、導入の前に全職員で確かめておきます。

製品を選ぶときに確かめること

午睡センサーには、寝具の下に敷く型、衣服に付ける型、カメラで見る型など、検知の仕組みが違う製品があります。仕組みによって、検知できるもの・できないものが違います。

  • 何を検知するか:体の動きか、体位か、呼吸に近い動きか。製品の説明書で確かめる
  • 対象の年齢と体格:0歳児向けか、1〜2歳児にも使えるか
  • 通知の届き方:誰の端末に、どのような音や表示で届くか。職員が気づかない場所で鳴っていないか
  • 誤報と見逃し:寝返りや体の小ささで反応しないことがないか。試用の期間を設けて確かめる
  • 記録との連携:センサーの記録が、職員の確認の記録と同じ画面で見られるか
  • 電池・充電・故障時:センサーが使えない日の手順(紙のチェック表に戻す)を決めてあるか

補助の対象になる

こども家庭庁の「令和8年度 保育関係予算案の概要」によると、保育環境改善等事業の安全対策事業は、次の2つを補助の対象にしています。

事業補助基準額(令和7年度)
睡眠中の事故防止対策に必要な機器(午睡センサー等)の備品の購入等1施設当たり50万円以内
ICT を活用した子どもの見守りに必要な機器の購入1施設当たり20万円以内

補助割合は国1/2・都道府県または市区町村1/4・事業者1/4で、補助を受けてから10年が経つと再び補助を受けられます。令和8年度からは、乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)・一時預かり事業・病児保育事業も対象に加わりました。実施主体は市区町村などで、受付の有無や時期は市町村によって違うため、導入を決める前に所管の担当課に確かめます。


5. よくある落とし穴

  • センサーを入れて確認の間隔を延ばしてしまう:通知があるからと目視の間隔を空けると、センサーが検知しない異変を見逃します。間隔は自治体の指導と園の決まりのまま保ちます。
  • 通知の音が届かない:休憩室や事務室で通知を受ける運用にすると、部屋に誰もいない時間が生まれます。午睡中の部屋に残る職員の端末で受けます。
  • 記録の入力が見守りを邪魔する:入力画面の操作が多いと、目が画面に向きます。導入前に午睡の時間帯で試し、1回の入力の手数を数えます。
  • 自動の記録と目視の記録が混ざる:センサーの記録だけが並んでいると、職員が確かめたかどうかが分かりません。職員の確認は別に記録します。
  • 使えない日の手順がない:充電切れや故障の日に紙へ戻す手順と、紙のチェック表の置き場を決めておきます。

まとめ

  • 国のガイドラインは、呼吸・体位・睡眠状態の定期的な点検を求め、間隔は分単位で定めていない
  • 間隔は自治体の指導で決まることが多い。東京都の指導検査の資料は、0歳児5分に1回、1〜2歳児10分に1回を望ましい間隔としている
  • 記録は、時刻・職員・体位・呼吸と顔色・気づいたことを毎回すべて埋められる書式にする
  • 記録は電子で残せる(設備運営基準第88条の11・運営基準第62条)。書き換えの履歴、見せやすさ、保存を確かめる
  • 午睡センサーを入れても職員の目視は省けない。担当・間隔・部屋に残る職員の配置は変えない
  • 午睡センサーの購入は保育環境改善等事業の安全対策事業で補助の対象(1施設50万円以内)。受付は市町村に確かめる

参考資料