保育園のホームページに載せる情報は、2種類に分けて考えると整理できます。1つは、運営基準で公開が義務になっている重要事項(運営規程の概要、職員の勤務の体制、利用者負担など)。もう1つは、保護者が園を比べるために探す情報(1日の流れ、給食、見学の予約の方法など)です。前者が欠けていれば基準を満たしていないことになり、後者が欠けていれば、保護者は電話で聞くか、別の園の見学を先に予約します。

どちらも、ホームページだけで完結するものではありません。園の情報は、ここdeサーチ(国の公表システム)、市区町村の施設一覧、地図、検索サイトにも載っています。載っている場所ごとに中身が食い違っていると、保護者はどれを信じてよいか分からなくなります。この記事では、義務の範囲、保護者が探す項目、掲載先をそろえる手順、見学の予約につなぐ置き方を順に整理します。入園の仕組みと募集全体の流れは園児募集の方法で扱っています。


義務になっている掲載:運営基準第23条の重要事項

子ども・子育て支援法の確認を受けた園(特定教育・保育施設)は、運営基準(特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の運営に関する基準)第23条で、次のように定められています。

  • 園の見やすい場所に、運営規程の概要、職員の勤務の体制、利用者負担その他の、利用申込者が園を選ぶのに役立つ重要事項を掲示する
  • あわせて、その重要事項をインターネットで公衆が閲覧できるようにする(条文の言葉では「電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供する」)

つまり、玄関の掲示板に貼ってあるだけでは足りず、ホームページなどのウェブ上でも読める状態にしておく必要があります。自園のホームページが無い園は、法人のサイトの中に園のページを設けるなどの形で、誰でも開ける場所に置きます。

重要事項の中身は、入園の内定後に保護者へ渡す重要事項説明書と重なります。説明書の記載事項と作り方は重要事項説明書の作り方で整理しています。説明書を改訂したら、掲示とホームページも同じ日に差し替えると決めておくと、3つの版がずれません。

地域への情報提供と、都道府県への報告

このほか、保育所には2つの決まりがあります。

根拠求められていることホームページとの関係
児童福祉法第48条の4第1項保育所は、主に利用される地域の住民に対して、その行う保育に関する情報の提供を行わなければならないホームページは、この情報提供のいちばん手近な手段になる
子ども・子育て支援法第58条確認を受けた園は、教育・保育等の内容と運営状況の情報を都道府県知事に報告し、知事がそれを公表する公表は国の「子ども・子育て支援情報公表システム(ここdeサーチ)」で行われ、住所・教育・保育の内容・利用定員・実費徴収額などが誰でも見られる

ここdeサーチに報告した内容と、自園のホームページの内容が違うと、保護者から見ると「どちらかが古い」ことになります。都道府県に報告した内容は、ホームページの内容と突き合わせてから出す習慣をつけておきます。


保護者が探す情報:比べるときに見られる項目

義務の範囲を満たしても、保護者が知りたいことに答えていなければ、問い合わせの電話が増えるか、比べる候補から外れます。見学の場でよく聞かれる質問(見学対応の進め方で整理しています)は、そのままホームページに載せる項目の候補です。

項目載せる中身の例置き場所の目安
基本情報所在地・地図、開所時間・延長保育の時間、受け入れ年齢、利用定員、休園日トップページ
保育の方針保育の考え方、1日の流れ(年齢別)、年間の主な行事園の紹介
給食自園調理か外部搬入か、アレルギーへの対応の考え方、主食の持参の有無園の紹介
安全の取組安全計画にもとづく点検と訓練、午睡中の確認、送迎の決まり園の紹介
費用利用者負担の考え方(市区町村が決めること)、実費徴収の項目と額、持ち物入園の案内
入園の流れ2号・3号は市区町村への申し込み、1号は園への申し込み、申し込みの時期入園の案内
見学受け付ける曜日と時間帯、予約の方法、所要時間、持ち物どのページからも
連絡先電話の受付時間、問い合わせフォーム、返信の目安どのページからも

安全の取組は、保育所が保護者に周知することを求められている事項でもあります(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第6条の3第3項)。安全計画の要点をホームページに載せておくと、周知の手段の1つになります。安全計画に定める内容は保育所の安全計画で扱っています。

入園の決まり方は誤解が多い項目です。2号・3号認定の子どもの入園は市区町村の利用調整で決まり、園が直接選ぶものではありません。「お問い合わせください」だけで済ませず、市区町村の申し込みの窓口と時期へのリンクを置きます。1号認定の子どもの募集を行う園は、願書の配布と受付の時期を載せます(1号認定の園児募集)。


整える手順:正本を1つ決めて、掲載先をそろえる

ホームページを作り直す前に、園の情報がどこに載っているかを数えるところから始めます。

  1. 載っている場所を書き出す。自園のホームページ、法人のサイト、ここdeサーチ、市区町村の施設一覧と空き状況の表、地図サービス、保育園の検索サイト、パンフレット。担当者が覚えている範囲ではなく、園の名前で検索して出てくるものをすべて挙げます。
  2. 正本を1つ決める。ふつうは自園のホームページです。ほかの掲載先は、正本を写したものとして扱います。
  3. 正本の中身を点検する。上の2つの表(義務の重要事項と、保護者が探す項目)に沿って、欠けている項目と古い項目を洗い出します。開所時間・利用定員・実費徴収の額は、年度が替わるたびに変わりやすい項目です。
  4. ほかの掲載先を正本に合わせる。自園で直せるもの(地図、検索サイトの園のページ)はその場で直し、自治体の一覧のように自園で直せないものは、担当課に修正を依頼した日を記録しておきます。
  5. 更新の日を決める。年度の切り替え(4月)、利用定員や開所時間の変更時、重要事項説明書の改訂時の3つを、掲載先を一巡して確かめる日として決めておきます。

表にすると、次のような棚卸しになります。

掲載先自園で直せるか開所時間利用定員見学の予約の方法最後に確かめた日
自園のホームページ(正本)直せる
ここdeサーチ報告を通して直す
市区町村の施設一覧依頼する
地図サービス直せる
保育園の検索サイトサイトによる

見学の予約につなぐ置き方

保護者がホームページを開く目的の多くは、「見学に行くかどうかを決めること」です。見学の予約の方法が見つからなければ、そこで比べる候補から外れます。

  • 予約の方法は、どのページからも1回で分かる場所に置く。ページの上部かフッターに、電話の受付時間と予約フォームへのリンクを並べます。
  • 受け付ける曜日と時間帯を書く。「随時受付」とだけ書くと、保護者は電話をかけてから都合を聞くことになり、かける前にためらいます。
  • フォームの返信の目安を書く。「2営業日以内にお電話します」のように書いておくと、返事を待つ間に別の園へ流れることを防げます。書いた目安は、園の側で守れる範囲にします。
  • ホームページ以外でも見学の予約を受けている場合は、枠を1つの台帳で管理する。自治体や検索サイトの予約の仕組みと電話の両方で受けると、同じ時間帯に二重に予約が入ります。

実行時の落とし穴

  • 重要事項が掲示だけで、ウェブに無い。運営基準第23条は、掲示とインターネットでの公開の両方を求めています。ホームページを作り直すときに、重要事項のページを落とさないようにします。
  • 年度が替わっても開所時間や費用が前年度のまま。古い情報は、載っていないことより保護者の信頼を損ねます。更新の日を決め、正本から順に直します。
  • 正本を決めずに、掲載先ごとに別の担当が直している。直した場所とそうでない場所ができ、食い違いが広がります。直すのは正本から、が原則です。
  • 写真に子どもの顔や名前が写っている。掲載には保護者の同意が要ります。同意の取り方と、同意を取り消されたときの差し替えの手順を先に決めておきます。
  • 入園を約束するような書き方をする。「空きがあります」「すぐ入れます」といった書き方は、市区町村の利用調整で決まる2号・3号の入園では誤解を招きます。

まとめ

  1. 園のホームページには、運営基準第23条で公開が義務になっている重要事項と、保護者が比べるために探す情報の2種類を載せる。
  2. 重要事項は園内の掲示だけでなく、インターネットで閲覧できるようにする。重要事項説明書を改訂したら、掲示とホームページも同じ日に差し替える。
  3. 園の情報が載っている場所を書き出し、正本を1つ決めて、ここdeサーチ・自治体の一覧・地図・検索サイトを正本に合わせる。
  4. 見学の予約の方法と返信の目安を、どのページからも1回で分かる場所に置く。

参照した資料