1歳児配置改善加算は、1歳児の保育士配置を「5人につき1人」で行い、あわせて処遇改善等加算の全区分の取得、ICTの活用、職員の平均経験年数10年以上という3つの要件を満たす施設に加算されます。 公定価格の基本分単価は、1、2歳児を「6人につき1人」の配置で積算しています。1歳児だけを5対1にする分の人件費を上乗せするのが、この加算の役割です。

1歳児配置改善加算は令和7年度に創設された加算で、配置だけでなく、職員の処遇や業務の効率化の取組みを要件に含んでいる点が、3歳児・4歳以上児の配置改善加算と違います。この記事では、こども家庭庁の「特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について」(最終改正 令和8年4月8日)の別紙2(保育所)にもとづいて、要件と算定の注意点を整理します。認定こども園は別紙4に同じ趣旨の定めがあるので、そちらも確かめてください。


1. 加算の位置づけ

公定価格は、基本分単価に加算と減算を重ねて算定します(全体の構成は「公定価格の仕組み」を参照)。1歳児配置改善加算は、そのうち「基本加算部分」に入ります。

加算配置の基準基本分単価での積算
1歳児配置改善加算1歳児5人につき1人1、2歳児6人につき1人
3歳児配置改善加算3歳児15人につき1人3歳児20人につき1人
4歳以上児配置改善加算4歳以上児25人につき1人4歳以上児30人につき1人

加算額は、地域区分等に応じた単価に、処遇改善等加算(区分1・区分2)の上乗せ分を加えた額で、1歳児の単価に加算されます。留意事項通知では、年度の初日の前日に満2歳の子ども(つまり2歳児クラス)は対象から除くとしています。


2. 配置の要件と算式

1歳児の実人数が5人を下回る場合でも、次の算式で求めた配置基準上保育士数を満たしていれば、加算が適用されます。

{4歳以上児数×1/30}+{3歳児数×1/20}+{2歳児数×1/6}+{1歳児数×1/5}+{乳児数×1/3}=配置基準上保育士数

  • 各項は小数点第1位まで計算し、第2位以下は切り捨てます
  • 合計は小数点以下を四捨五入します
  • 「1歳児」「2歳児」などの年齢は、年度の初日の前日における満年齢で数えます

基本分単価の算式では「1、2歳児数×1/6」とまとめて計算しますが、この加算の算式では2歳児と1歳児を分けて計算します。1歳児クラスと2歳児クラスを合同で保育している時間帯がある園は、配置表の作り方に注意が必要です。

計算の例

4歳以上児40人、3歳児18人、2歳児12人、1歳児12人、乳児6人の園で比べてみます。

項目基本分単価の算式1歳児配置改善加算の算式
4歳以上児40×1/30=1.31.3
3歳児18×1/20=0.90.9
1、2歳児24×1/6=4.02歳児 12×1/6=2.0/1歳児 12×1/5=2.4
乳児6×1/3=2.02.0
合計8.2 → 8人8.6 → 9人

この例では、配置基準上の保育士数が1人増えます。実際の必要数には、利用定員90人以下の施設の+1人や、標準時間認定に対応する+1人など、基本分単価に含まれる職員が加わります。


3. 配置以外の3つの要件

留意事項通知 別紙2 Ⅲの4(1)では、配置に加えて次のすべてを満たすことを求めています。

要件内容
ⅰ 処遇改善等加算区分1・区分2・区分3のいずれも取得していること
ⅱ ICTの活用①登降園の管理の機能と、②保育の計画・記録(職員間で共有・更新できるもの)、③保護者との連絡、④キャッシュレス決済のうち1つ以上の機能を持つシステムを導入し、業務に活用していること
ⅲ 平均経験年数処遇改善等加算の区分1・区分2の加算率の算定で使う「職員1人当たりの平均経験年数」が10年以上であること

ICTの要件で見落としやすい点

  • 登降園の管理の機能は必須です。保護者連絡のアプリだけを入れていても要件を満たしません
  • ICTを介さない個別のメールやアプリで保護者と連絡している場合は、③に当たりません
  • 銀行振込や口座振替を個別のアプリで案内しているだけの場合は、④に当たりません
  • 「導入」だけでなく「業務に活用していること」が要件です。登降園の打刻を紙に戻しているような運用では、要件を満たすと言いにくくなります

システムの選び方と、令和8年度に創設された保育ICT推進加算との関係は「保育の ICT 化」で整理しています。

平均経験年数の数え方

平均経験年数は、原則として加算年度の4月1日時点で判断します。年度の途中で職員の採用や異動があって10年以上になった場合は、要件を満たした日の属する月の翌月から加算を適用します。数え方は処遇改善等加算と同じなので、「保育の処遇改善等加算」の算定方法とあわせて確かめてください。


4. 認定の手続き

加算の認定は、施設が所在する市町村長が行います。申請の際には、次のような書類を出すのが一般的です。

  1. 施設名と加算の適用年月
  2. 利用子ども数の見込み
  3. 保育士の配置状況が記載された職員体制図
  4. 要件(処遇改善等加算の取得・ICTの活用・平均経験年数)に該当している旨の申告

様式と提出期限は市町村ごとに違います。年度当初から算定する場合は、前年度のうちに市町村の案内を確かめておきます。


5. 要件を満たさなくなったとき

市町村長は、申請や指導監督を通じて状況を確かめ、要件に適合しなくなった場合は、適合しなくなった日の属する月の翌月から加算を適用しないものとします(月の初日に適合しなくなった場合はその月から)。

満たさなくなった要件扱い
1歳児の5対1の配置翌月から加算なし
処遇改善等加算の取得翌月から加算なし
ICTの活用翌月から加算なし
平均経験年数10年以上その年度中は満たしているものとみなす

経験の長い職員が年度の途中で退職しても、平均経験年数の要件だけならその年度は外れません。一方で、退職によって5対1の配置が崩れると、翌月から加算は適用されなくなります。


6. 算定前のチェックリスト

  • 各月初日の在籍を、年度の初日の前日の満年齢で1歳児と2歳児に分けて集計している
  • 加算の算式で求めた配置基準上保育士数を、月ごとの職員配置が満たしている
  • 処遇改善等加算の区分1・区分2・区分3をすべて申請している
  • 登降園管理の機能を含むシステムを、職員が日々の業務で使っている
  • 職員1人当たりの平均経験年数が、4月1日時点で10年以上ある
  • 退職・休職の予定が分かった時点で、翌月以降の配置表を作り直す手順がある

7. 落とし穴

  • 2歳児クラスに加算が付くと思い込む:対象は年度の初日の前日に満1歳の子どもです。満2歳の子どもは除かれます。
  • 登降園管理の機能がないまま申請する:保護者連絡のアプリだけでは要件を満たしません。
  • 配置表を1、2歳児でまとめたままにする:加算の算式では2歳児と1歳児を分けて計算します。
  • 年度途中の欠員を放置する:5対1が崩れた翌月から加算は外れます。欠員が出たら、市町村への届出の要否もあわせて確かめます。

8. まとめ

  • 1歳児配置改善加算は、1歳児の保育士配置を5人につき1人で行う施設に加算される
  • 配置に加え、処遇改善等加算の全区分の取得、ICTの活用、平均経験年数10年以上の3つが要件
  • 要件を満たさなくなった翌月から加算は外れる。平均経験年数だけはその年度中は外れない

要件と単価は年度ごとに見直されます。算定の前に、こども家庭庁の最新の留意事項通知・FAQと、市町村の案内を確かめてください。

参考資料