保育所の公定価格には、全施設に付く加算と、要件を満たして市町村長の認定を受けたときだけ付く加算があります。 取り逃しが起きるのは後者です。要件を満たしているのに申請していない、年度の途中で要件が崩れたのに気づかない、という2つが典型です。

この記事では、こども家庭庁の「特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について」(最終改正 令和8年4月8日)の別紙2(保育所)にもとづいて、保育所の加算を一覧にし、要件の要点を整理します。単価の構成そのものは「公定価格の仕組み」で扱っています。認定こども園・幼稚園・地域型保育事業は、それぞれの別紙で確かめてください。


1. 加算の区分

公定価格は、基本分単価と次の部分で構成されます。

部分性格
基本加算部分配置や建物など、園の基本的な体制に応じて毎月の単価に加わる
加減調整部分分園、施設長の不在、土曜閉所、安全計画・経営情報の報告の未実施などで調整される
乗除調整部分定員を恒常的に超過する場合に調整される
特定加算部分園の取組みに応じて加わる。月ごとのものと、3月にまとめて入るものがある

2. 基本加算部分の一覧

加算要件の要点認定
処遇改善等加算(区分1〜3)職員の平均経験年数に応じた加算率と、賃金改善の計画・実績報告要
3歳児配置改善加算3歳児の保育士配置を15人につき1人で行う要
4歳以上児配置改善加算4歳以上児の配置を25人につき1人で行う(チーム保育推進加算の算定園を除く)要
1歳児配置改善加算1歳児の配置を5人につき1人で行い、処遇改善等加算の全区分・ICT活用・平均経験年数10年以上を満たす要
休日保育加算市町村の指定を受け、日曜・祝日を含めて年間を通じて開所する要
夜間保育加算夜間保育所として設置認可された施設―
減価償却費加算自己所有の建物で、国庫補助を受けずに整備した要
賃借料加算賃貸物件で賃借料が発生している要
チーム保育推進加算必要保育士数を超えて保育士を置き、チーム保育の体制を整え、職員の平均経験年数が12年以上要
副食費徴収免除加算全ての施設(副食費の徴収が免除される子どもに加算)―

配置改善加算の3つは、いずれも年齢別配置基準を上回る配置を公定価格で支えるものです。1歳児は要件が多いので「1歳児配置改善加算」で詳しく扱っています。処遇改善等加算は「保育の処遇改善等加算」、建物の加算は「賃借料加算と減価償却費加算」を参照してください。

チーム保育推進加算の加配人数の上限は、利用定員120人以下で1人、121人以上で2人です。加算による増収は保育士の増員か職員の賃金改善に充て、年度終了後に実績報告書を出します。


3. 特定加算部分の一覧

加算要件の要点入る時期
主任保育士専任加算代替保育士を置いて主任保育士を専任させ、延長保育・一時預かりなどの事業等を複数実施毎月
療育支援加算障害児が利用し、個別の支援計画・家族支援・関係機関との連携などに取り組む。主任保育士等を補助する者を置く型と、専門職を活用する型がある毎月
事務職員雇上費加算事務職員を配置し、延長保育などの事業等のいずれかを実施毎月
冷暖房費加算全ての施設(寒冷地手当の級地などの地域の区分で額が違う)毎月
除雪費加算豪雪地帯に所在する3月
降灰除去費加算降灰防除地域に所在する3月
高齢者等活躍促進加算高齢者等を配置基準外の非常勤として雇い、年間の累積雇用時間が400時間以上見込まれる3月
施設機能強化推進費加算防災教育・避難誘導体制など総合的な防災対策に取り組む3月
小学校接続加算小学校との連携の担当を決め、交流活動や5歳児から小学1年生のカリキュラムの編成に取り組む―
栄養管理加算栄養士等から献立・アレルギー・食育について継続的に指導を受ける毎月
第三者評価受審加算第三者評価を受審し、結果をホームページ等で公表する3月
特別地域保育体制確保対応加算定められた特別な地域で保育の体制を確保する―
保育ICT推進加算ICTの責任者を選任し、定められた機能のシステムを効果的に活用している(令和8年度に創設)3月

主任保育士専任加算の要件と兼務の制限は「主任保育士専任加算」、保育ICT推進加算の要件は「保育の ICT 化」で整理しています。

「3月」と書いた加算は、年額を3月初日の利用子ども数で割って3月の単価に加えるものです。月次の収支を比べるときは、3月の入金が大きくなることを見込んでおきます。


4. 減算・調整にも目を配る

加算を積み上げても、調整で差し引かれては意味がありません。令和8年度は、減算の項目が増えています。

調整内容
施設長を配置していない場合要件を満たす施設長がいない。2以上の施設や他の事業と兼務し、施設長の職務を行っていない者は欠員とみなされる
土曜日に閉所する場合当月の土曜日に閉所する日がある(開所していても保育を提供していなければ閉所扱い)
安全計画の策定等をしていない場合令和8年7月から。安全計画がない、または周知・研修・訓練・見直しのいずれかが1年間欠けている
経営情報の報告等を行っていない場合令和8年7月から。報告期限から3か月以上報告がない場合などに、基本分単価の5%
定員を恒常的に超過する場合直前の連続する2年度間、常に利用定員を超え、各年度の年間平均在所率が120%以上

安全計画の作り方は「保育所の安全計画」で扱っています。


5. 取り逃しを防ぐ確かめ方

  1. 加算ごとの認定の有無を一覧にする:市町村から届く支払明細や認定通知と、上の表を突き合わせます。
  2. 要件を満たしているのに申請していない加算を探す:たとえば、延長保育と一時預かりを実施しているのに主任保育士専任加算を申請していない、栄養士の助言を受けているのに栄養管理加算を申請していない、といった場合です。
  3. 年1回の申請の期限を予定に入れる:高齢者等活躍促進加算、施設機能強化推進費加算、第三者評価受審加算など、3月に入る加算は年度の後半に申請の期限があることが多いので、市町村の案内で確かめます。
  4. 配置を月ごとに点検する:配置改善加算やチーム保育推進加算は、職員の退職で要件が崩れると翌月から外れます。
  5. 実績報告の要る加算を把握する:処遇改善等加算、チーム保育推進加算、休日保育加算などは、年度終了後に実績報告書を出します。

確認のチェックリスト

  • 算定中の加算と、申請の根拠書類(配置表・契約書・実施記録)が対応している
  • 実施している事業(延長保育・一時預かり・乳児等通園支援など)と、それを要件にする加算を照らし合わせた
  • 3月に入る加算の申請の期限を確かめた
  • 令和8年7月から始まった2つの減算に当たっていない

6. まとめ

  • 保育所の加算は、全施設に付くものと、申請して認定を受けるものに分かれる
  • 取り逃しは「要件を満たしているのに申請していない」「年度途中で要件が崩れた」の2つが典型
  • 令和8年度は、保育ICT推進加算の創設と、安全計画・経営情報の報告にかかる減算の開始に注意する

加算の単価と要件は年度ごとに変わります。算定の前に、こども家庭庁の最新の告示・留意事項通知・FAQと、市町村の案内を確かめてください。

参考資料